画像出典/福井新聞ONLINE
昔から、深海魚リュウグウノツカイが姿を見せると地震が起きると恐れられていましたが、このことを調査した東海大学と静岡県立大学の調査チームが2019年6月、「統計学的にみて迷信」だと断定しました。
大学の研究チームが「迷信だ」と断定した一方で、「断定するのは危険だ」と反論する動きもあります。条件設定を見直せば、地震との関連が大いに疑われるケースがあるというのです。
果たして、真相はどうなっているのでしょうか。
大学の調査チームが「迷信」であると断定
普段は姿を見せない深海魚が、海岸に漂着したり漁網にかかるなどして出現する現象は、昔から地震の前兆であると思われてきました。
これに対し、2019年6月26日に東海大学と静岡県立大学の調査チームが、統計学的にみて迷信だと断定する調査結果を発表したのです。
以降、マスコミも深海魚の出現を地震と結び付けて不安を煽るような報道は慎むべきとの空気が広がっていきました。
このような世間の捉え方に対し、警笛を鳴らす人がいます。
地震前兆研究家、超常現象研究家としてマスコミにもたびたび登場する百瀬直也氏です。
データーの抽出条件に問題はないか?
百瀬氏の記録によると、リュウグウノツカイが目撃されてから数日後に地震が起きたケースは確かに存在しているといいます。
百瀬氏のブログに次のように掲載されていました。
・1行目はリュウグウノツカイ発見場所
・2行目は発生した地震概要
・3行目は震源までの距離
●1995/01/13:三重県度会郡南島町の大敷網
→1995/01/17:阪神・淡路大震災、M7.4、最大震度7、4日後、150km
●2011/12/21:静岡県牧之原市静波海岸
→2012/01/01:鳥島近海、M7.0、最大震度4、11日後、370km
●2014/04/12:メキシコの海岸
→2014/04/18:メキシコ南部ゲレロ州、M7.2、6日後
●2016/04/28:台湾・台東県太麻里郷の定置網
→2016/05/12:台湾付近、M6.4、14日後
● 2017/02/08:フィリピン・ミンダナオ島
→2017/02/10:フィリピン、スリガオ近海、M6.5、2日後、80km
● 2019/02/11:ペルー北部Mancora
→2019/02/22:エクアドル、M7.5、11日後、500km
●2019/05/23:ペルー北部マンコラ
→2019/05/26:ペルー、M8.0、3日後、800km
● 2019/06/14:米国バハカリフォルニア、
→2019/07/06:カリフォルニア州中部、M7.1、22日後、600km
引用/探求三昧
上記の記録では、リュウグウノツカイ出現場所と震源との距離は、80km~800kmとなっており、震源の至近距離ではありません。
百瀬氏は、研究チームの調査は、データの抽出条件などに問題があるのではないか、と疑問の声を寄せています。
リュウグウノツカイは冬季に日本海側に出現する傾向
リュウグウノツカイは産卵後に弱って打ち上げられることがあり。これは産卵時期の冬季によくみられる現象であるとのこと。
百瀬氏によると、先述の研究チームは、そもそもの生態による出没部分を切り分けせずに統計を取ったのではないか、と言っています。
当館から近い新潟市西区小針浜にリュウグウノツカイの死亡漂着があり、館に搬入しました。非常に状態が良く、冷蔵の状態で明日2月14日(金)から16日(日)まで3日間限定で展示します。全長4370mm、体高330mm、体重34.86kg。 #リュウグウノツカイ #新潟市水族館 #マリンピア日本海 pic.twitter.com/vh0oLj5jRV
— マリンピア日本海PR (@marinepia_2) February 13, 2020
2019年12月~2020年2月にかけて、日本海側の北陸地方の海岸で、深海魚であるリュウグウノツカイの目撃が相次ぎました。
ことについては、前記のように産卵後の弱った個体が打ち上げられるという現象であり、百瀬氏も、これは地震には結びつかないとしています。
ちなみに、前述の大学の調査では、1923年以降、深海魚が見つかった日から30日以内に半径100キロ圏内で発生したマグニチュード6以上の地震を調べるたもので、該当したのは2007年7月16日の新潟県中越沖地震だけだったということです。
リンク:地震前兆百科
その後の事例~2020年にも発生していた
その後の動きも気になって、リュウグウノツカイ目撃情報を調べてみました。
2019年12月10日朝日新聞の報道によると、インドネシアのスラウェシ島の漁師が捕獲した3mのリュウグウノツカイの写真をインスタグラムに投稿したところ「日本では大地震・津波の前兆とされている」などと拡散され不安が広がったとのこと。
インドネシア気象庁は「日本の伝承に明確な根拠はない」と火消しに走ったとされています。
その後、2020年1月7日に、インドネシアのスマトラ島の西側の深さ約20kmを震源とするM6.2の地震が発生しています。
リュウグウノツカイが発見されたスラウェシ島付近までは、1,500kmほど離れており、発見されてから地震までの期間は28日でした。
リュウグウノツカイ漂着。2020.02.07兵庫県豊岡市竹野町宇日。392cm。胃内容物空っぽ。 pic.twitter.com/qy7dCZuSEi
— 但馬自然史研究所#ouitajima (@tajimashizenshi) February 10, 2020
まだまだ調べれば、どんどん事例が出てくるのではないかと思われます。
百瀬氏が言うように、距離や期間などの条件設定を変えて、調べてみる価値はありそうです。
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