驚異の成分アルテミシニン＿マラリアから世界を救ったクソニンジンはコロナに効くのか

画像出典/熊本大学薬学部薬草園植物データベース

新型コロナに効く薬草はあるのか～ヨモギの一種「クソニンジン」に注目

キク科の多年草のヨモギは、食用として草餅などに使われることで日本人にもなじみ深い植物ですが、薬草としての一面も持っています。

葉の裏側の細かい綿毛は「モグサ」として鍼治療の灸に利用されているほか、古くから止血薬として葉の汁が使われていたり、貧血、リウマチなどに聞くとして煎じたりされてきました。

そのヨモギの一種である「クソニンジン」という植物が、新型コロナウイルスの予防や治療に活用できるのではないかと、注目を集め始めています。

クソニンジンから抽出されたアルテミシニンがマラリアの特効薬に

記事の写真はアジア女性初のノーベル医学生理学賞に輝いた屠呦呦先生。https://t.co/jBN8OQ0Hmt
— ねこです。 (@Katalernejo) November 18, 2021

「クソニンジン」に含まれるアルテミシニンという抽出成分は、マラリア治療に驚異的な効果をもたらすとされています。

アルテミシニンを発見した中国の女性研究者屠呦呦（トゥ・ヨウヨウ）氏は2015年にノーベル医学生理学賞を受賞しています。

このアルテミシニンを使った治療薬が開発されたことで、世界中のマラリアの死亡者は半分程度にまで減ったといいます。

マダガスカル大統領が「新型コロナに効く」と公言

画像出典/ AFP BB NEWS

2020年4月20日　マダガスカル大統領アンドリー・ラジョエリナ氏は、新型コロナウイルス感染症の予防にも治療にも効くとして、「コヴィッド・オーガニクス」なるドリンクをテレビカメラの前で飲んで見せました。

まだ、新型コロナワクチンがまだ開発されていない頃のことです。

あまりにも唐突な発表に、記者たちは失笑。しかし、マダガスカルは、薬局やマダガスカルのスーパーマーケットで発売と学校への無料配布を発表、赤道ギニアやギニアビサウ、ニジェール、タンザニアへの提供も始めました。

このドリンクには、マダガスカル固有のさまざまな植物の成分が含まれていすが、その中に中国原産のヨモギの一種「クソニンジン」が使われていることで再び「クソニンジン」の存在が脚光を浴びました。

WHOも植物療法の臨床試験計画を承認

コロナ治療に効果？ WHO、薬草用いた植物療法の試験承認 https://t.co/4Ao8tEEafM
— AFPBB News (@afpbbcom) September 20, 2020

一方、新型コロナウイルスに効くとして様々な薬草が提案されていることについて、当初WHOでは、「多くの植物や医薬品が最低の基準を満たすことなく、また、質や安全性、効果の証拠もない」として警告を発していました。

しかし、WHOは、2020年9月19日、新型コロナウイルス感染症の治療薬となる可能性があるとして、クソニンジンを含む薬草を用いた植物療法の臨床試験計画を承認しています。

さらに、2021年1月18日、コロンビア大学などは、熱湯で抽出したクソニンジン乾燥葉のエキスが新型コロナウイルスに対し抗ウイルス活性を示したことを発表したのです。

ワクチンと薬草～バランスよく活用を

当記事は、決して新型コロナワクチン接種に反対するものではありません。科学的検証が行われているワクチンは感染拡大を防ぐため、高齢者や基礎疾患のある方などの重症化を防ぐためにワクチン接種は必要なものです。

しかし、伝統的な薬草なども改めて見直してみて、日常生活の中での健康管理のために、意識してみることも大切なことではないでしょうか。

日本国内でも野生化している「クソニンジン」

今回参加した植物分類学者が教えてくれたこと。このどこにでも生えているヨモギ科の雑草が、中国で初めてノーベル生理学賞を授賞した屠呦呦が抗マラリア薬(アルテミシニン)の成分を抽出した草そのもの。あちこちに「草生える」状態https://t.co/AgaLnPCQ9W屠ユウユウ pic.twitter.com/kklMEUm4xX
— 佐藤賢一の中の人 (@ke_1sato) August 22, 2019

「クソニンジン」は、日本国内でも、本州以南に自生しています。畑、牧草地、荒地、市街地の道端などに生えています。

ヨモギの仲間ですが、ニンジンのような細い葉をしていて、独特の匂いがあることからクソニンジンの名で呼ばれています。

背丈は1.5ｍほど、8月から10月ころに小さな淡黄褐色の花をつけます。

＜道端のクソニンジンを探す動画＞