画像出典/NHK NEWS WEB
高知県と静岡県の干潟で見つかった生物が、これまで化石でしか知られていない甲殻類の「オオスナモグリ」であることが千葉県立中央博物館の分析で判明したと、2019年6月5日付けでNHKが報じました。
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化石でのみ確認されていた絶滅だった
オオスナモグリは、50万年前から8万年ほど前の地層で化石が確認されているだけで、これまで絶滅したと考えられていました。
今回の分析に至る前、2017年には熊本県の海底の堆積物から500年から400年ほど前のハサミの殻が見つかったと報告されており、オオスナモグリが現代に生息している可能性が一部の研究者の間でささやかれていました。
画像出典/くろこう.net
オオスナモグリは、現代の日本の海辺に生息しているニホンスナモグリと酷似していますが、体長が一般的に見られるニホンスナモグリよりも1.5倍ほど大きく、ハサミの形状の特徴などがオオスナモグリの化石と一致したとのこと。
さらに、DNAの配列もニホンスナモグリと異なっていることが確認されたということです。 研究者らは、今後、生息域や生態の研究を進めていきたいとしています。
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現代の日本に生息しているスナモグリ3種
ニホンの海辺には、「ニホンスナモグリ」、「スナモグリ」、「ハルマンスナモグリ」の3種が生息しています。
ニホンスナモグリ
画像出典/ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
「ニホンスナモグリ」は北海道から九州にかけて内湾の砂地に巣穴を掘って生活しており、アナジャコ、バケジャコなどとも呼ばれ、 釣り餌としては、「ボケ」という別称もあります。
片方のハサミが大きく体長8センチほどに成長します。
スナモグリ
画像出典/ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑
「スナモグリ」は、北海道南部から九州に生息、外洋に面した磯などにある砂地に生息し、巣穴は作らないそう。
ハルマンスナモグリ
画像出典/三浦半島・江奈湾干潟保全プロジェクト
ハルマンスナモグリは、ニホンスナモグリと同種とする意見もありますが、下記のような識別方法により、別種と分類しているようです。
識別方法
日本には3種のスナモグリが棲息し、本種の他、ニホンスナモグリとスナモグリがいるとされています。その識別は以下とされています。 ①頭胸甲のうち、頸溝~後端の比率が1/5:スナモグリ、1/4:ニホンスナモグリ、ハルマンスナモグリ ②眼の幅が眼柄の幅の1/2以上:ハルマンスナモグリ、1/5-1/3:ニホンスナモグリ 本種とニホンスナモグリは同種とする見解もあるようですが、上記に従い、ハルマンスナモグリと同定しています。 引用/水中写真のすき間
また、別のサイトによると、黒目の大きさがハルマンスナモグリのほうが大きいので黒目の大きさで見分けることができるとのことです。
化石でしか知られていなかった絶滅種の生存例
化石でしか知られていなかった生物の生存が確認された例では、魚類のシーラカンスや樹木のメタセコイアが有名です。
近代以降の絶滅種については、再発見されることが稀にあり、日本では、1940年代に絶滅したと思われていた田沢湖のクニマスが2010年に山梨県の西湖で発見された例があります。
しかし、数万年も前の化石でしか知られていなかった生物の生存確認は非常に珍しいのではないでしょうか。
今後の研究の推移に注目するとともに、日本国内にも未だ見ぬ謎があるかもしれないと思うとワクワクしますね。
【参考】
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