<2018.07.17追記>リニア中央新幹線のトンネル工事に伴い、長野県の天然記念物の渡り鳥「ブッポウソウ」が居なくなったとして2018年7月13日から中川村内の県道の四徳渡トンネル新設工事が中断されたというニュースが配信されました。
この報道以前にも、リニア中央新幹線については環境被害ばかりでなく人的影響についても、様々な問題が指摘されています。
この記事では、それらについて、まとめてみました。
1960年代にはじまった超電導磁気浮上方式鉄道「リニアモーターカー」の開発は、2003年に世界最高速度となる581km/hを記録。
そしてついに、リニア中央新幹線(品川・名古屋間)の工事実施計画は、2014年10月に国土交通省は同計画に事業認可され、2027年の運転開始を目指して建設工事がはじまりました。
2020年の東京オリンピックに合わせ、一部区間の先行開業も視野に入れているリニア中央新幹線ですが、様々な問題が次々へと明らかになり、本当に開業できるのか疑問視する声が広がっています。
電磁波、水枯れ問題、ウラン鉱床、活断層、乗り換え問題、採算性、強行工事、談合、危機管理・・・無謀とも思える計画に着手してしまった日本。 後戻りできないこの状況に、どうやって折り合いをつけるのでしょうか。
強力な電磁波による人体への影響は?
リニアモーターカーは、超電導磁石で車両を地上10cmほど浮上させるため、極めて強い電磁波を発します。
この電磁波が健康被害を及ぼすのでは、と一部で反対運動のような動きまで起きています。
問題とされているのは、リニアモーターカーの実験線において床上で6000~40000ミリガウスの低周波磁場が発生する(国立環境研究所調べ)ことで、乗客や沿線住民に健康被害が発生するのでは、という懸念です。
送電線から出る電磁波は10μT(マイクロテスラ)以下といわれていますが、リニアモーターカーの床上は、6000mG(ミリガウス)~40000mG(600μT(マイクロテスラ)~4000μT)。
送電線の10μT以下と比較すると、60倍~400倍ということになります。 送電線の近くに住むと体調不良を引き起こしたり小児がんの発生率が高くなるなどという事例が報告されているだけに、心配する声があがるのも当然といえます。
電磁波については、ヒステリックに必要以上の危機感を煽る団体もあることから、ここでは紹介しませんが、確実な対策が求められます。
水脈の遮断による「水枯れ問題」
水源の枯渇問題です。トンネル工事により発生した出水は人工的に排出しているため、本来の水脈が切断されることで、本来水があったはずの河川や井戸が枯れてしまう現象が各地で発生しているのです。
これまでもトンネル工事では、多かれ少なかれ同様の問題があったとはいえ、リニアの場合は品川~名古屋間約285kmのうち、およそ250km、86%がトンネルになることから、よりいっそう深刻な事態を引き起こしかねません。
多くの活断層を横切るトンネル工事
前述のとおり、行程の約9割がトンネルとなる予定のリニア中央新幹線。多くの活断層を横切ることになることから、地震が起きた際の対応が心配されています。
【参考】南アルプスを貫くリニア新幹線は東海地震でも安全なのか?
そればかりか、リニアのトンネル工事そのものが地震を引き起こすきっかけになるのでは、との懸念まであるようです。
そして、膨大な工事残土の受け入れ先確保が行き詰まる中、大きく積み上げられた残土による土石流被害の懸念が指摘されています。
トンネル工事ルートにウラン鉱床がある
トンネル工事のルートとなっている岐阜県東濃地区は、日本最大のウラン鉱床であり、かつて原発へのウラン調達のため調の査が行われたことがありますが、埋蔵量が少なかったことから採掘には至りませんでした。
ここを掘るというとは、ウランを含んだ残土をどのように処理するかが問題となってきます。
このことは国会でも取り上げられていますが、健康被害が発生する恐れはないのか注視していく必要がありそうです。
【参考】議事録/190-衆-国土交通委員会-4 号 平成 28 年 03 月 30 日(PDF)
JR東海の葛西敬之会長は、福島第一原発事故後の5月24日
— chai-nom (@chainom) 2018年6月11日
「原発継続しか日本の活路はない」
と驚くべき非常識な原発推進論を語った。
リニア中央新幹線は莫大な電力を消費するからだ…https://t.co/FBSO5avEj9 …pic.twitter.com/kuWvAFeIY3
「乗換問題」で時間短縮メリットが帳消し
東京の品川と名古屋間を結ぶ計画のリニア中央新幹線ですが、新幹線と比較して所要時間が1時間29分からわずか40分へと約50分も短縮されます。
しかし、かなり深い位置に地下駅を設置するために移動時間がかかるなど、いわゆる「乗り換え問題」が時間短縮のメリットを打ち消してしまうのではないかとも言われています。
リニア品川駅は地下40メートル、リニア名古屋駅は地下30メートルとかなり深部にあるため、在来線からの乗り換えに20分以上かかるのではないかと言われているのです。
名古屋より先、新大阪などへ行きたい人は、当然名古屋駅で新幹線に乗り換えるでしょうが、リニアは運行本数が少ないことから当然待ち時間のロスが発生します。
結局、新幹線の方が早かったという結果にもなりかねません。
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「リニアは採算が合わない」が定説
既に難工事が続いているトンネルの多さや、乗り換え問題などに伴う利用者メリットへの疑問などから、リニア中央新幹線は採算が取れないのでは?との疑問が当初から叫ばれています。
JR東海の山田会長(当時社長)でさえもが、「リニアは絶対にペイしない」(2013年)と発言しているのです。 そもそも、新幹線とシェアを奪い合えば共倒れにもなりかねません。 それが、なぜ強力に推し進められようとしているのでしょう。
リニア技術の海外輸出を展望
どうやら、将来的にはリニアを米国に輸出しようという考えがあるようです。
極端な車社会のアメリカですが、オバマ政権以降、高速鉄道を次世代インフラの中心に位置付けたい考えが浮上してきました。
インフラ海外輸出を成長戦略の一環と位置付ける安倍晋三政権の方針をうけ、JR東海はリニア技術を米国に無償提供するつもりのようですが、米国での構想実現を足がかりに世界各国にリニア輸出を広げたいのでしょう。
それにしても、スピードを競う化け物列車が、人口減少社会の価値観にマッチするのかどうか、無駄な投資にならなければ良いのですが。
住民不在の強行工事に非難噴出!
各地の説明会で住民からの不満の声が噴出する中で「住民の理解は得られた」として工事が進められています。
2016年11月1日、南アルプスの西端に位置する長野県大鹿村で、南アルプスにトンネルを掘るための起工式が行われました。 村民には知らされず、会場を突き止めた村民たちが詰め寄る中、彼らをシャットアウトして行われた異様な起工式が、問題の根深さを物語っています。
マスコミもタブー視している影の力
JR東海という極めて公共性の高い企業において「代表取締役名誉会長」なる得体のしれぬポストを勝手に作ってそこに居座り、リニアに宇宙政策、NHK会長人事から外交、防衛政策まで、現政権は唯々諾々と葛西の考えを踏襲する。途上国でも最近は見かけなくなったこんな光景、異常としか言いようがない
— ガイチ (@gaitifuji) 2015年12月12日
安倍政権に影響力を持つJR東海名誉会長葛西敬之氏
本来JR東海が自前で調達すべき9億円といわれる建設費のうち、3億円の公的資金が無担保で投入するなど既に国家プロジェクト化としているリニア中央新幹線。
数多くの問題を抱えながら、なぜ強行に推し進めようとされているのでしょうか。
その裏には、「陰の財界総理」と呼ばれ、安倍政権に対しても強い影響力を行使しているとされる、JR東海の名誉会長・葛西敬之氏の姿があります。
葛西氏は、財界人の集まり「四季の会」の幹事役で、かねてから経済ブレーンとして安倍首相をバックアップしてきました。
葛西氏が発起人なっている「さくら会」は財界人約10名で構成され、安倍政治において彼らの影響力は強いとされています。
森友学園や加計学園問題で露呈した安倍首相の私物化政治の似たような構造がリニアをめぐっても見え隠れしているのです。
捜査妨害ともいえる異例の人事
リニア中央新幹線の建設工事を巡る大手ゼネコン4社の談合問題では、独占禁止法違反(不当な取引制限)罪で、法人4社と担当役員らが起訴されましたが、2017年12月、強制捜査に乗り出した東京地検特捜部に対し官邸は当時の林真琴刑事局長を名古屋高検検事長に転出させる人事案を発表。こそくな抵抗をみせています。
【参考】飛ばされた刑事局長!リニア疑惑の裏で暗躍する官邸! 赤かぶ
いったいこの国はどこへ向かおうとしているのでしょう。あれほどの悲劇を生んだ原発でさえ、一部の財解人たちの損得勘定によって生き返ろうとしているのです。
【参考】またアベ友…経団連会長人事は安倍政権の新スキャンダル 永田町の裏を読む(日刊ゲンダイ) 赤かぶ
マスコミ最大のタブー「リニア中央新幹線」
安倍政権の黒幕ともいわれる「葛西JR東海名誉会長」は、NHK会長人事にも影響力を行使したばかりか、あの森友問題にも関係しているという情報があります。
政財界に絶大な影響力を持つ葛西氏を恐れて、大手マスコミをはじめ、一部のジャーナリストなどを除き誰もリニア問題に触れようとしないのです。
キオスクでの販売が多い各種週刊誌もどこまで書いて良いのか躊躇していることでしょう。ゲラ刷りまでできかけた記事が直前に取りやめになったという例も報告されています。
当ブログでも、ネット上の情報を編集しているだけとはいえ、このような記事にも裏の手が回らないか正直心配です。
その他にも、トンネル事故の際の安全確保や、現行の新幹線に比べて3.5倍ともいわれる電力消費、騒音や環境破壊など、課題山積ですが、政治の都合や財界人の損得勘定で無理やりに押し進められている感のあるリニアモーターカーは、日本の将来に何を残すのでしょうか。
森友問題に酷似 加計疑惑にも浮上した「日本会議」の線https://t.co/zeBdv1OESp あら!今治市長も日本会議だったのか、葛西敬之JR東海名誉会長が日本会議だとは知っていたけど。https://t.co/CqMW7xL0e1 JR東海のグリーン車に乗ると貰えるらしい、固定金利1%で3兆円も血税が使われるリニア。 pic.twitter.com/nEIUKWlmAP
— アパ(大阪16区) (@apa_8_8) 2018年6月12日
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